2011年8月2日火曜日

「プリトヨ」続く魅力発信を

 

「プリトヨ」続く魅力発信を   ヒットの陰に大阪の人間力

大阪を舞台にした映画「プリンセストヨトミ」は興行収入が15億円を突破し、「ヒット」作品になった。

スクリーンを通して衆目を集めた大阪城の天守閣は折しも11月7日に復興80周年を迎える。

これを機に観光の名所だけなく、娯楽芸能の世界でも「絵」になる白亜の城を多角的にとらえ、「プリンセス…」に続く二の矢、三の矢の話題に思いを致し、大阪の魅力を発信する策を考えたい。

 

■独特な視点を

5月28日公開した「プリンセス…」の第1週は「パイレーツ・オブ・カリビアン」に次ぐ興行成績を記録するスタートダッシュとなり、7月25日現在の興行収入は15億8400万円、観客動員数は127万3千人を数えた。プロデューサーの土屋健氏によると、「15億円を超え、素晴らしいヒットと映画業界は思っている」そうだ。

では、ヒットした要因は何か。

1615年の大坂夏の陣で自害した豊臣秀頼の息子、国松は処刑され、豊臣家の血筋は途絶えたという通説に反し、国松は生き延びてその末裔(まつえい)を守るため、大坂の人たちは「大阪国」を発足した-。

物語の設定は「太閤びいき」の大阪の土地柄を印象付け、大阪国の国民が立ち上がるシーンを作品の見せ場にしたように思う。

その製作の意図が映画パンフレットのインタビュー欄に載っている。

原作者の万城目学氏「ずっと住んでいる大阪で、大好きな大阪城に大阪の人の気質や人情を絡めてヘンなエンタテイメントを作った」

監督の鈴木雅之氏「彼らがあることに関してだけは団結する“人間力”を持っているということを浮かび上がらせたかった」

虚構の世界とはいえ、大阪の人が脈々と受け継ぐアイデンティティーの強さを描いた視点が「ヒット」につながったすれば、その大阪を象徴する大阪城の捉え方によっては話題になりはしないか。

大阪城が立つこの地の歴史を独特な視点で捉えた最近の見解として、関西大教授の藪田貫氏が昨年10月に書き下ろした「武士の町大坂」は特筆に値する。その書き出しはこうだ。

江戸時代の大坂といえば、「町人の都」「天下の台所」と相場が決まっている…しかし時は「武士の世」、大坂にも武士がいたことは間違いなく、なによりもいまも聳(そび)える大阪城が、武士の存在を物語る。

現在では印象の薄い大坂武士に光を当てた本書は、通説に満足しない層の関心を集め、固定化された大阪のイメージに一石を投じた。斬新な論を展開した著者のよりどころになったのが、いまも聳える「大阪城」だった。

 

■「お城ブーム」

1931年11月7日完成した現在の天守閣は、3代目に当たる。太閤秀吉が創建した初代は夏の陣で焼失し、徳川幕府が再建した2代目は1665年の落雷によって焼失した。

戦火、災害に消えた歴史を踏まえた3代目は当時としては最新の鉄骨鉄筋コンクリート造りによって完成し、その財源は大阪の象徴を求めた市民の浄財だった。

復興30年史に興味深い記述がある。

1958、59年の両年にかけて全国各地で合計七つの天守閣が再建されたほか、静岡県・熱海には忽然(こつぜん)と熱海城なるものまで出現するありさまで、世はまさに「昭和築城時代」といわれるほどに「お城ブーム」は極点に達した。その端緒が大阪城だった、と30年史は伝えている。

 

復興80周年の節目に大阪城天守閣の管理運営関係者は、復興当時を振り返る特別展を計画している。せっかくの機会だけに、全国発信する未来志向の取り組みを望みたい。それだけの素地が、市民の力によって復興した日本で最も親しまれる城の「大阪城」にはある。

 

「大河」へ署名活動
幸村の入城400周年で長野の有志
大坂夏の陣で徳川軍と戦った豊臣軍の武将、真田幸村の大阪城入城400周年に当たる2014年に向け、幸村ゆかりの長野県上田市の有志が、NHK大河ドラマの放映を目指して署名集めを展開。7月22日来阪した阿部守一知事や母袋創一市長が、橋下徹知事に協力を呼び掛けた。
大阪城天守閣復興80周年の今年ヒットした映画「プリンセストヨトミ」の盛り上がりを、大阪城入城400周年に合わせたドラマ化につなげる。そんな機運の醸成を大阪に期待する母袋市長は手始めに、橋下知事に署名簿へのサインを求めた。
「真田幸村は大阪でも人気。実現すれば長野と大阪のつながりができる」と橋下知事は応じたが、機運の醸成はいかに。
5月17日時点の署名数合計50万178人のうち東京は3万516人、大阪は1万9193人と2大都市圏の間に開きがあり、母袋市長は「大阪を中心に最後の追い込みをしようと思っている」と話している。
真田幸村は信濃上田城主の昌幸の子で、地元の有志は2009年11月に署名活動を開始。真田家の旗印「六文銭」にちなんで66万6666人の署名集めを目標にしている。

 

toyotomi_001

電子書籍ストア「honto」で2011年上半期に最も読まれたのは?

NTTドコモの強力なユーザー基盤とほかのストアと比べ頭一つ抜け出ているラインアップ数でユーザーを増やす電子書籍ストア「honto」で2011年上半期に最も読まれた作品は?

 

大日本印刷グループとNTTドコモの共同事業会社「トゥ・ディファクト」が運営する電子書籍ストア「honto」は、NTTドコモの強力なユーザー基盤とほかのストアと比べ頭一つ抜け出ているラインアップで静かにユーザー層を増やしているが、そんなhontoで2011年上半期に最も読まれた電子書籍ベスト20がトゥ・ディファクトから発表された。

hontoにおける2011年1月12日~6月30日までの売り上げを基に算出されたもので、書籍とコミックに分けてランキングが発表されている。

書籍ランキングの第1位は、紙の文庫もまもなく80万部に達する勢いの「プリンセス・トヨトミ」。

万城目学氏の妄想がさく裂した同作品は映画化されている。

コミックランキングの第1位は、村上たかし氏の「星守る犬」。こちらも映画化されたものも好評で、現在は新シリーズの準備も進められている話題の作品だ。

両部門のベスト10までは以下のとおり。ベスト11以降は同社サイトで確認してほしい。