「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」で知られる万城目学の大ベストセラーを映画化した『プリンセス トヨトミ』で、“鬼の松平”の異名を持つ会計検査院の調査官、松平元を演じた堤真一が、演じた役柄と自身を重ね合わせて語った。
大阪国という独立した国家が存在し、400年もの間、大坂夏の陣で滅んだはずの豊臣家の末えいを守り続けていたという奇想天外な設定ながら、父と子のきずなにほろりとさせられる本作。
堤が演じた松平は、父親とわかり合えないまま死別してしまい、心の奥底で後悔の念を抱き続けることになるが、20歳で父親を亡くした堤にとって、父親とは「大きくて遠い存在」だったという。
11月16日に発売されるDVDの特典映像として収録されている舞台あいさつでは、立ち飲み屋に連れて行ってもらったエピソードを明かしていたが、無口だった父親との思い出は、日常のひとコマがほとんどだという。
「とにかく声を聞くことが少なかった。もし今生きていたとしたら、一緒に酒を飲むこともできたでしょうが、当時は会話らしい会話もなかったように思います」と親子関係を振り返った。
それでも、「何かにぶつかったときに、自分の中で答えが出ていても、誰かに背中を押してもらいたいことってありますよね。そんなとき、誰に相談したらいいのか。仕事のことなら先輩に聞いていただくこともあるかもしれませんが、父親に言われていたら、受け止め方も違ったのかなと。もしかしたら父親の言葉を欲した時期もあったのかもしれません」と父親を亡くした後、その存在を大きく感じたことがあるという。
そして、本作に出演したことで、父親との記憶をたどったという堤は、「父が何を背負って生きていたのか……。結婚して子どもができれば、何か感じるところがあるのかもしれないですね」とはにかみ交じりに語った。
それらの言葉から浮かび上がる堤の姿は、どことなく松平の姿にも重なって見えてくる。父から子へと受け継がれるきずなの物語の裏には、堤なりの父への思いが込められているのかもしれない。 (取材・文:小島弥央 シネマトゥデイ映画ニュース)
映画『プリンセス トヨトミ』は11月16日よりブルーレイ&DVD同時リリース
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大阪、神戸、京都……今後も広がる市民マラソンの波
第1回大阪マラソンは30日、大阪城公園前をスタートし、湾岸エリアのインテックス大阪前をフィニッシュする日本陸連公認コースで行われ、男子はエリジャ・サング(ケニア)が2時間12分43秒で、女子はリディア・シモン(ルーマニア)が2時間32分48秒でそれぞれ初代の栄冠に輝いた。
第1回を迎えた大阪マラソンをはじめ、市民マラソンはいま隆盛期にある。全国の大会情報をまとめたサイトでは、2011年の市民参加型フルマラソンが113大会紹介されている。
福岡国際や大阪国際女子など五輪代表選考会となるようなメジャー大会に参加できる市民ランナーもいるが、制限時間(参加資格記録)の関門が高い。
それを6~7時間に緩和設定することで、多くの市民がトップ選手と一緒のレースに参加できるようになった。
人気の大会は申し込み開始当日に定員を超えてしまう。
2011年度は大阪に続いて、神戸と京都で都市型の大会が立ち上がり、アテネ五輪金メダリスト野口みずき(シスメックス)がマラソンデビュー(02年)した名古屋国際女子は、参加資格記録を3時間15分から6時間40分に緩和し、2012年3月に名古屋ウィメンズマラソンとしてリニューアルされる。
今回の大阪マラソンはフルマラソンの定員2万8000人に対し、応募は15万4822人。地域活性や経済効果も期待される一方で、
ブームの過熱は走りたい大会を走れないランナーを生む。
マラソン人口の増加が世界と伍するトップ選手の育成に直結するとも限らない。
だが、川内は言う。「大阪のコースは折り返しが多いですが、景色がくるくる変わって、応援も熱かった。実力選手がそろい、ペースメーカーも付けば、大会がもっと発展するのかなと思います」
真剣勝負のトップ選手にも、それに挑むハイレベルな市民ランナーにも、走ることを楽しむ無数の市民ランナーにも、さらには車いすマラソンの選手たちにも、あこがれとなる大会が育つ土壌を日本は持っている。