クランクイン!!
映画「阪急電車」クランクイン
有川浩の小説を原作とする映画「阪急電車」(三宅喜重監督、2011年4月公開)が26日、兵庫県宝塚市の阪急宝塚駅などでクランクインした。
三宅監督らスタッフ関係者約60人は午前中、毎年1月に阪神タイガースが優勝祈願する西宮市の廣田神社で撮影の無事と映画のヒットを祈願。
その後、宝塚駅や武庫川周辺で走る阪急電車の俯瞰映像など実景シーンを撮影した。
阪急今津線宝塚駅から西宮北口駅までを舞台に、人と人のふれあいを描くご当地映画。主演の女優、中谷美紀(34)は来月上旬合流し、同下旬まで撮影される。
天才子役・芦田愛菜「あこがれ」の宮本信子と共演
天才子役として注目を集める女優・芦田愛菜(まな、6)が出演することが27日、分かった。
ベテラン女優・宮本信子(65)の孫娘役を務め、年齢差59歳の初共演を果たす。
今年4~6月に日本テレビ系で放送されたドラマ「Mother」での名演が評判を呼んだ兵庫県出身の6歳が、関西弁のナチュラルな演技を見せる。
作品は同県宝塚市と西宮市を結ぶ阪急電鉄の今津線が舞台。オール兵庫ロケ。
芦田はプライベートでも「阪急マルーン」と呼ばれる小豆色の列車を利用しているようで、「大好きな阪急電車にたくさん乗れるのがすごく楽しみ」とコメント。
「有名な役者さんたちと一緒に映画に出るのは緊張するけど、あこがれの宮本さんと一緒に頑張ります」と大先輩の演技指導も楽しみにしているという。
一方、芦田演じる孫娘から好かれる老婦人・時江を演じる宮本は「眉山」(2007年)以来、約4年ぶりの映画出演。「地元の方々に共感していただけるよう、全力投球で演じさせていただきます。
かわいい愛菜ちゃんとの共演も待ちきれません」と話している。
「生」の字再び 大震災鎮魂思い込め
「なま」なのか「せい」なのか――。
かつて宝塚市の中心街を流れる武庫川の中州に、石でつくられた「生」の字のオブジェが浮かびあがり話題になったことがある。今年、その「生」が5年ぶりに復活する。
オブジェは「せい」と呼ぶ。
宝塚市の美術家大野良平さん(51)が2005年1月、河川敷の石を並べて初めて作った。縦約20メートル、幅約10メートルあり、当時、阪急今津線の宝塚―宝塚南口駅間の車窓から見えていた。
その読み方だけでなく、いたずらか、メッセージかと、乗客の間で話題になったことも、08年発行の60万部を超すベストセラー小説「阪急電車」(有川浩著、幻冬舎)の冒頭に取り上げられている。
大野さんはこのころ、毎年のように近くの空き店舗で仲間の芸術家と、手作りのオブジェを並べた現代美術展を開いていた。04年のテーマが「再生」。ところが、翌05年の「再生2」で、借りた会場が手狭だった。
「そうだ、外へ飛び出そう」。思い立って目にとまったのが、阪急宝塚南口駅近くの宝塚大橋から見下ろせる中州。岸からはしごを伝い、河原へ降り立った。川の真ん中から街を見上げると、見慣れた風景が違って見えた。
「街と自然は共存しているんだと気づいた。ここから何か発信できないかと考えました」
川を管理する県にかけあい、その場にある石を使えば問題はない、と確かめた。
05年1月初旬の朝7時すぎ。寒風吹きすさぶなか、大野さんは中州で大きめの石を探して並べ、「生」をつくった。
実はこのとき、「本当は『再生』と描きたかったがスペースがなかった」。なので、読みは「せい」なのだ。
同月16日、大野さんは石の脇に懐中電灯を並べてその晩限り、「生」をライトアップしてみた。1995年1月17日の阪神大震災から丸10年。「生」に鎮魂の思いを込めた。
だが、「生」はその後、増水によって06年秋ごろに自然消滅した。
なぞのオブジェとして人々の記憶に残った「生」。
来年、オブジェのことが載った小説「阪急電車」が映画化される。その話題にあやかろうと、宝塚市がこの冬、「生」の再現を大野さんに持ちかけた。
大野さんは今月27日から、母校の宝塚大の学生ボランティアと一緒に制作を始める。12月18日にプレ点灯されたあと、来年1月16日に再びライトアップされる予定だ。大野さんは「一度消えたはずの『生』が思わぬ形でよみがえるのも何かの縁。より多くの人の記憶にとどめたい」と話している。
制作やライトアップ費用のため、「生」の写真入りポストカード(1枚100円)が市立南口会館など3カ所で販売されている。