ハマテラ
大阪・中之島を流れる土佐堀川に1日、川床(かわどこ)「北浜テラス」がオープンした。川床は、京都・鴨川では夏の「納涼床」として有名だが、大阪では初。19日の京阪中之島線の開業に先立ち、川沿いの3店舗が1カ月限定で開く。
中之島の近代建築物や行き交う観光船などの景観が魅力だ。経営者らは「新線開業のにぎわいを取り込んで、将来は水都・大阪の名物に」と意気込む。
川床を設けるのは、大阪市中央区の京阪「北浜駅」近くの土佐堀川南べりに店を構える手打ちそば屋、イタリア料理店、居酒屋の3店舗。京阪中之島線(天満橋―中之島)では「なにわ橋駅」が最寄り駅になる。いずれも昼と夜の営業で、日祝日は定休。
そば屋経営者の山西輝和さん(55)は、店から川にせり出す形で鉄パイプを使って約2メートルの高床を組み、木の板(縦2.8メートル、横5.4メートル)を張った。大きな丸テーブル一つ、いす8席分のスペースだ。設置費用は約40万円。山西さんは「赤字確実だが、本場・京都のお客さんにも見てもらいたい」と話す。
6年前、25年勤めた建築設備会社の技術部長を辞め、そば作りの修業に励んだ。2年後、所有していた鉄骨4階建てビルの1階にそば屋を開業した。明治時代、高祖父と曽祖父が同じ場所で料理旅館を営んでいた。
そば屋開業時、当時の写真を見つけた。着物を着ただんな衆が土佐堀川に浮かぶ船から旅館に上がる様子が写っていた。大阪は江戸時代、天下の台所として堀や川が整備された。「当時のにぎわいを取り戻したい」。店に川床を作るのが夢になった。
河川法では、公共性や治水上の理由から水上や河川敷での店舗開設を原則禁じている。約400年の歴史がある鴨川の納涼床は「地域への定着」を理由に例外的に認められている。国土交通省は「地域再生」の一環なら水上店舗を容認する規制緩和を自治体に示しており、山西さんらは来春から川床の常設を目指す。
■下の映像は川床工事中のものですが、中央にある薄緑のフェンスを境にして、手前側が河川用地、奥側が民間用地となっています。これまでは、河川法によって営利目的での河川用地利用は原則禁止。そのため建物は川に背を向けるようになり、人々にとっても遠い存在となっていました。北浜テラスは、水辺を生かしたまちづくりに官民で取り組むイベント「水都大阪2009」(2009年8~10月)のプロジェクトに採用され、大阪府から河川敷使用、大阪市から建築物設置の許可を得たものです。
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